埼玉県新座市にたつ、小児を専門とする歯科医院です。
敷地は古くからケヤキが生い茂る緑豊かな環境で、クライアント家族の住宅と歯科医院は庭を共有するようにたっていました。歯科医院は開院から60年を数え、世代を超えて地域に根ざした診療所として親しまれていましたが、患者数の増加に伴い新たに小児と矯正のためのアネックスを敷地南西の奥にたてることになりました。
「歯の健康は心身のバランスを整える事にある」というクライアントの考えから、ここは診療の場に加えて運動の場が併設された複合的な歯科医院です。庭に対して壁をバラバラと配置し住まいへのプライバシーに配慮しながら、敷地内の自然環境を建物に引き込むことで、緑の庭と緩やかに混ざり合う建物になっています。屋根の折板効果により桁行方向で最大13mのスパンを飛ばし、折れ方向での柔らかい開放感は診療時の子どもたちの不安を和らげます。屋根の起伏が内外に渡って広がりの異なる居場所をつくり、保護者や子どもたちは診療以外でもゆったりとした時間を過ごせます。
架構の連続は支え合って軒を大きく跳ね出し、敷地内の緑を引き込むと共に周囲の家並みと呼応してつながり、開かれた庭は街のなかの森になります。
ここでは森と街という二つの環境において、有機的に関係する建築のあり方を考えました。
敷地:埼玉県新座市/用途:歯科医院/敷地面積:789.50m2/建築面積:430.88m2/延床面積:299.38m2/構造・規模:鉄骨造 地上1階/建築:山下貴成建築設計事務所/構造:平岩構造計画/設備:環境エンジニアリング/植栽:トクゾウ/施工:栄港建設/撮影:鈴木研一, TYO
掲載 : GA JAPAN 168号/GA JAPAN 182号/JIA建築年鑑 2021-2022/日本建築学会作品選集 2023/建築ジャーナル 2024年11月号
受賞: JIA優秀建築選 2021/第48回東京建築賞 奨励賞/令和4年度日事連建築賞 優秀賞/Taipei Design Award 2022 優秀賞/アイカ施工例コンテスト 2023 特別賞/日本建築学会作品選集 2023