河口湖とらのこ保育園（2016）

山梨県の富士河口湖町にたつ、小さな保育園の計画です。

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敷地は遠くに悠然とそびえ立つ富士山が望め、3棟の高齢者施設が取り囲む中心にあります。周辺施設で生活するお年寄りやクリニックに訪れる地域の人々、働く職員も多いことから、ここには子どもたちを預かる施設としての保育園というよりは、もっとみんなが気軽に集まれる大らかな場所をつくろうと考えました。

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囲まれた敷地に対して様々な方向に開き、人々を迎え入れるように自由曲面の屋根をふわふわと架けていきます。緩やかに湾曲した屋根の集まりは、園庭の大屋根ひろば、地域に開かれたラウンジ、園児たちが過ごす保育室、富士山が見えるランチルーム、職員室をそれぞれに分節しながら、ひとつながりの柔らかな環境をつくり出します。屋根は100本もの異なるカーブで切り出された50mm角のLVLを軸に、構造用合板で挟み込んだ86mm厚からなる木造の覆いです。物理的にも感覚的にも軽く薄い屋根を浮かべることで、元気に遊びまわる園児たちや一息つくお年寄り、軒先で立ち話をするお母さんや日なたぼっこするネコなど、屋根の下にはたくさんの居場所が生まれています。

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この保育園が、まるでみんなが集まれる大きな木のように、誰にとっても身近に感じられる開かれた場となることを目指しました。